突然ですが次の漢字は何と読むでしょうか?

  • 魚軒

答えは最後のお楽しみにとっておくとして、我々の業界では毎日「軒(のき)」という漢字を眼にしています。でも、なぜ「のき」というのかはほぼ全ての人が答えられません。「屋根」にしろ「玄関」にしろ、基本的なものほどその語源は誰も知らないものですから。

まず「軒(のき)」は「屋根の一番下の建物から突出した部分」を指します。よく似た場所に「庇(ひさし)」がありますが、こちらは「窓や玄関といった開口部の上に(雨に濡れたりしないように)設けた小さな屋根」になります。建物(の外周部)から突出した屋根の一部であることは変わりませんが、開口部が見極めのポイントとなります。ちなみに「庇」は「庇(かば)う」という言葉から来ています。「雨や日ざしから人を庇う」部分ということでしょう。

さて肝心の「軒」ですが、話は昔の中国にさかのぼります。身分の高い人が利用していた乗り物に牛車がありました。牛車には轅(ながえ)という牛と輿(こし)をつなぐ長い棒状のものがあります。この轅が上に上がった状態のことを「軒(けん)」と言っていました。この「軒」には「突出した部分」を指す言葉としても用いられており、これが日本に伝わった後、いつしか「軒(のき)」として使われるようになったわけです。軒という漢字が「車へん」で成り立っているのもこれで説明がつきますね。

さて最後に冒頭の問題の解答を。別の漢字に直すと「刺身」になります。なぜ「魚軒=さしみ」なのかは、皆さんで考えて下さい。